イリオモテヤマネコという名前、日本人であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
1967年に新種として登録され、当時大きな話題を呼びました。
発見当初から個体数が少ないという不安は常にあり、『絶滅危惧IB類』という『近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの』に分類されていました。
ですが、2007年には『絶滅危惧IA類』という『ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの』に分類されてしまうことになりました。
どうしてこうなってしまったのか調べてみましたので、書いていこうと思います。
イリオモテヤマネコが絶滅危惧種になった原因は?
イリオモテヤマネコの絶滅が危ぶまれる原因はいくつかありますので、順番に見ていきましょう。
人為的被害
残念ながら一番の原因は人間にあるようです。
西表島はとても自然豊かな島で、海水浴だけでなく、川下りや山歩きなどの観光が行われています。
その為、山中に生息するイリオモテヤマネコが次第に追いやられてしまうという影響も出てきているようです。
そして、観光客の移動手段として、レンタカーがあり、その車によって『交通事故』に合い命を落としてしまうケースも少なくないようです。
特にメスの個体の事故はとてもダメージが大きく、2頭の胎児を持ったメスがなくなっていた事もあるようです。
人間と野生動物との共存は色んなところで耳にすることがあり、我々としては胸の痛い結果となっています。
天敵による捕食
西表島は森におおわれています。
となるとそれだけ多くの動物が生息しており、イリオモテヤマネコの天敵もいます。
その中でも一番の天敵は『野犬』による捕食が原因のようです。
体格的にどうしても犬に劣ってしまうイリオモテヤマネコは野犬の恰好のエサにされてしまうようです。
あと、こちらは人為的被害になってしまうのですが、イノシシ用の罠だったり、カニ用の罠に引っ掛かって命を落としているケースも多いようです。
外来種による影響
あとは、イエネコによる影響があるようです。
飼い猫が野生化して、イリオモテヤマネコと接触して感染やらHIV(ネコエイズ)といった病気にかかってしまうケースがあるようです。
そして野良猫とのエサを取り合って圧迫されたりという影響も一つの要因となっています。
イリオモテヤマネコの生息数や生息地は?
イリオモテヤマネコは全世界を見ても西表島にしか生息していません。
そしてその個体数ですが、年々減ってきており、現在では100匹程度しか生息していないと言われています。
その原因が人間の手によるものが大きいというのは非常に悲しいことだと思います。
もともと島に生息していたのはイリオモテヤマネコなのに、後からきた人間が森林伐採してリゾート地にしたり、車でひいてしまったり、罠にかけてしまったりと、このままでは人間のせいで完全に絶滅してしまいます。
今後考えていかないといけない事
ここまで見てきて人間のせいで一つの種が絶滅の危機にある事を知りました。
その為、西表島では絶滅を防ぐために対策が取られはじめています。
動物注意の看板や、動物用のトンネル、ゼブラゾーンと言って車が通ると音や振動がしてイリオモテヤマネコが逃げるような工夫がされています。
あとは、島の飼い猫の予防接種、避妊、去勢の強化はもちろん、マイクロチップの埋め込みの義務化や飼育頭数の制限などの対策も取られるようになりました。
そして、これは西之表島だけに言えることではないですが、もし観光客としてこういった自然に踏み込む場合は、ゴミのポイ捨てなどの環境破壊はもってのほかで、車の運転なども細心の注意を払うだけで私たちにできることもあると思います。
是非とも動物という考えではなく、人間と同じ地球に住む『同種』として一人一人が考えていければと思います。